空調を、コスト→価値へ。
HVEは、ELZA(ENERGY LEAK ZERO ACTION)の中で、空調関連の省エネを実践するための価値設計の考え方です。空調を「冷やす・暖めるための設備」としてだけではなく、快適性・生産性・省エネ・脱炭素を同時に生み出す価値創造設備として捉え直します。
HVEが重視する問いは、たった一つ。
空調は、多くの企業・施設において大きなエネルギーを消費する設備です。しかし、空調は単なる電力消費設備ではありません。そこで働く人の快適性、生産性、来店客の滞在環境、衛生環境、製造品質、事業継続性に関わる重要なインフラです。
どれだけ快適性・生産性・事業価値に
変換されているか。
電気使用量を減らしても、室内が暑い・寒い、湿度が不快、風が直接当たる、作業環境が悪化する、といった状態になれば、それは本来の意味での改善とはいえません。一方で、電気を多く使っているにもかかわらず、快適性が十分に得られていない現場もあります。
空調に使われたエネルギーが価値に変換されていない部分を見つけ、その漏れを止めること。それが、HVEの基本的な考え方です。
従来の省エネとの違い。
従来の空調関連の省エネでは、機器更新・設定温度・運転時間短縮といった対策が中心になりがちでした。これらは重要ですが、現場の空調ロスは、それだけでは解決できません。
機器スペックを見る
- 高効率機器への更新
- 設定温度の変更
- 運転時間の短縮
- フィルター清掃
- 節電要請
- ピークカット
- デマンド管理
たとえば、次のような状態。
機器スペックだけでは見つからない、現場で実際に起きていること。
- 高効率機器なのに、電気代が下がらない
- 設定温度を変えても、快適性が安定しない
- 同じ室内に暑い場所と寒い場所がある
- 換気や出入口の影響で空調負荷が増えている
- 冷凍冷蔵設備と空調が干渉している
- 無人時間帯や低負荷時間帯にも過剰運転している
- 省エネ装置を導入したが、効果を説明しにくい
HVEが対象とする、5つの価値。
HVEでは、空調の価値を複数の視点で捉えます。
快適性
室温、湿度、気流、温度ムラ、体感環境などを確認し、人が快適に過ごせる状態を目指します。
生産性
空調環境が作業効率や集中力、来店客の滞在環境に影響します。業務環境を支えるインフラとして捉えます。
省エネ
必要な快適性を確保しながら、過剰運転や無駄な負荷を減らします。価値に変換されていないエネルギーを減らすこと。
脱炭素
エネルギー使用量を削減することは、CO₂排出量の削減にもつながります。脱炭素経営を現場で実行する取り組みです。
事業継続
空調は、衛生環境、製造品質、保管品質、設備保護にも関わります。事業継続に必要な環境インフラです。
HVEで見つけるエネルギー漏れ。
HVEでは、空調関連の省エネ領域に潜むエネルギー漏れを、次の5つの観点から確認します。
制御のズレ
設定温度、運転時間、立ち上げ、停止タイミング、スケジュール、無人時間帯の運転などにより、不要なエネルギー消費が発生していないかを確認します。
空気環境のムラ
温度ムラ、気流ムラ、冷気だまり、暖気だまり、風の偏りなどにより、空調エネルギーが快適性に十分変換されていない状態を確認します。
外乱・干渉
換気、外気侵入、出入口、窓、日射、周辺設備、冷凍冷蔵設備などの影響により、空調が本来以上の負荷を受けていないかを確認します。
設備状態の悪化
フィルター目詰まり、熱交換器汚れ、ファン劣化、冷媒状態、メンテナンス不足などにより、効率が低下していないかを確認します。
運用のズレ
現場判断、手動操作、消し忘れ、過剰運転、担当者ごとの設定変更などにより、運用上のロスが発生していないかを確認します。実際の使われ方と、本来あるべき運用の差を見つけ出すことが鍵です。
HVEの進め方。
HVEは、空調の価値を高めるために、次の5つのステップで進めます。
空調の役割を確認する
その施設において空調がどのような価値を担っているかを確認します。作業環境、来店環境、製造品質、衛生環境、保管環境、事業継続性など、施設ごとに求められる価値は異なります。
現場のエネルギー漏れを確認する
室温、湿度、気流、電力量、運転時間、サーモ画像、換気、外気、冷凍冷蔵設備との干渉などを確認し、どこでエネルギー漏れが発生しているかを把握します。
空調価値への変換効率を考える
使ったエネルギーが、快適性や事業価値にどれだけ変換されているかを確認します。電気を多く使っていても快適性が低い場合は、価値変換効率が低い状態です。
改善策を設計する
現場の状態に応じて、改善策を設計します。スマート空調制御、スケジュール制御、温度設定の最適化、気流改善、換気制御、冷気漏れ対策、遮熱・断熱、フィルター・熱交換器改善、霜取り制御、設備更新、補助金活用など。
効果を確認する
削減電力量、削減率、削減金額、CO₂削減量、快適性の変化、HEEMスコアの変化などを確認します。HVEでは、改善して終わりではなく、空調価値が実際に高まったかを確認します。
HVEでは、改善して終わりではなく、空調価値が実際に高まったかを確認することを重視します。
HVEとHEEMの役割。
HVEは、空調価値を高めるための考え方です。一方、HEEMは、その考え方を現場で実行するための具体的な方法論です。
HVEが向いている施設。
HVEは、空調関連の省エネに課題を感じている施設で活用できます。
特に、次のような施設に向いています。
- 空調の電気代が高い
- 快適性にムラがある
- 空調と冷凍冷蔵設備が併存している
- 換気や出入口の影響が大きい
- 設備更新前に改善余地を確認したい
- 省エネ装置の効果を確認したい
- 快適性を落とさず省エネしたい
- 補助金やESCO型提案につなげたい
HVEで目指すこと。
HVEが目指すのは、空調関連の省エネを「我慢」や「設備更新」だけで終わらせないことです。
- 空調に使われたエネルギーを、快適性・生産性・省エネ・脱炭素という価値へ変換する。
- その変換を妨げている エネルギー漏れを見つけ、止める。
- そして、改善効果を確認し、次の改善へつなげる。
それが、HVEの役割です。
HVEは、空調関連の省エネを価値創造の取り組みへ変えるための考え方です。
まずは、空調価値の見直しから。
空調関連の省エネは、いきなり設備更新や大規模投資から始める必要はありません。まずは、現在の空調がどのような価値を生み、どこでエネルギー漏れが発生しているかを確認することが第一歩です。
GEPAでは、HVEの考え方に基づき、空調関連の省エネを測定・診断・改善・検証で進める HEEM を活用しています。
空調に使われたエネルギーは、どれだけ価値に変換されているのか。その確認から、現場に合った省エネが始まります。
